その「分かりました」、本当ですか?
リーダーや管理職として働く皆さん、部下から「分かりました」と返答されたとき、どのくらい安心していますか?実はこの一言に、多くのマネジメント課題が隠れています。表面的な理解と真の理解には大きな差があり、それを見抜けないと後々大きな問題につながることもあります。
今回は、部下の「分かりました」の裏側にある心理と、効果的なフォロー方法について解説します。
「分かりました」に隠された3つの心理
その場を乗り切りたい心理
新入社員や経験の浅いメンバーにとって、上司の話を途中で遮ったり「それってどういう意味ですか?」と質問するのは勇気が要ります。
よくあるパターン:
- 上司:「何か質問ある?」
- 部下:「大丈夫です」
この「大丈夫」は実際には:
- 「今は特にない」ではなく
- 「何が分からないか分からないから、とりあえず何も聞かない」
というサインの可能性が高いのです。
期待に応えたい気持ち
部下は上司の期待に応えたいと思うあまり、理解が不十分でも「分かりました」と答えてしまうことがあります。これは決して悪意ではなく、むしろ責任感の表れでもあります。
失敗への恐怖心
「また質問すると怒られるかも」「能力不足だと思われたくない」という不安から、分からないことを隠してしまう心理状態です。
リーダーができる効果的な確認術
行動ベースでの確認方法
単に「分かった?」と聞くのではなく、具体的な行動で理解度を確認しましょう。
効果的な質問例:
- 「じゃあ、どんな風に進めてみる?」
- 「最初のステップは何から始める?」
- 「期限はいつ頃を想定してる?」
予測を共有してもらう
理解しているなら、起こりうる問題も予測できるはずです。
実践例:
- 「どこかでつまずきそうなところはある?」
- 「この作業で一番時間がかかりそうなのはどの部分?」
- 「過去の経験から、注意すべき点はある?」
先回りのサポート提供
経験豊富なリーダーだからこそできる、予防的なアドバイスも重要です。
サポート例:
- 「これ、○○さんも前に困ってたポイントなんだけど…」
- 「こういう場合は△△に相談すると早いよ」
- 「資料は□□にあるから、分からなくなったら見てね」
心理的安全性の高いチーム作り
「分かりません」と言える環境整備
部下が安心して質問できる環境を作ることが、真のチーム力向上につながります。
環境作りのポイント:
- 予防線を張る
- 「あとから分からなくなっても全然OKだから、気軽に聞いてね」
- 「最初はよく分からないのが普通だよ」
- 質問を歓迎する姿勢を示す
- 「いい質問だね」「そこに気づくのは素晴らしい」
- 質問された際は面倒がらず、丁寧に対応する
- 失敗を学習機会として捉える
- 「失敗は成長のチャンス」という文化を醸成
- ミスを責めるのではなく、改善点を一緒に考える
定期的なフォローアップの仕組み化
一度の説明だけでなく、継続的なサポート体制を整えましょう。
フォロー例:
- 翌日:「昨日の件、進捗はどう?」
- 1週間後:「困ったことはない?」
- プロジェクト完了時:「振り返ってみて、最初の理解と違った部分はあった?」
最後に
部下の「分かりました」や「大丈夫です」の奥には、以下のような気持ちが潜んでいることを理解しましょう:
- 安心したい気持ち
- 不安を知られたくない気持ち
- 期待に応えたいという思い
だからこそ、表面の言葉だけで判断せず、その奥にある気持ちを汲み取る関わり方が重要です。
リーダーとして心がけたいこと:
- 理解度を多角的に確認する
- 質問しやすい雰囲気を作る
- 継続的なサポートを提供する
- 失敗を恐れない文化を醸成する
「分かりました」のその先を、一緒に歩いていく。そんなリーダーシップを発揮することで、チーム全体の成長と成果向上につながっていくでしょう。
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