内的キャリアとは?リーダーが『自分軸』で成長し続けるための羅針盤

キャリア相談

「チームの成長は嬉しいけれど、自分のキャリア、このままでいいのかな…?」
そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか? リーダーとして走り続ける中で、ふと立ち止まり、「この先の自分」について考える瞬間、ありませんか?

リーダーという立場は、チームや組織の成長を喜び、そのために全力を尽くす毎日ですよね。昇進や年収アップ、新しい役職に就くといった、目に見える「成長」ももちろん大切です。何をもって「成長している」と感じるかは、本当に人それぞれ。それらは、あなたの努力が形になった証であり、とても素晴らしいことです。

でも、こんな声を聞くことがあります。「チームの目標達成は嬉しいけれど、このままで私自身のキャリアは本当に良いのだろうか」「毎日忙しいけれど、漠然とした物足りなさを感じる時がある」。

実は、長く活躍し、自分らしく成果を出し続けるリーダーたちは、もうひとつの“見えにくい成長”をとても大切にしています。

今日は、その「内なる成長」──私たちが「内的キャリア」と呼ぶものに焦点を当てて、なぜ今、それがあなたのキャリアにとって不可欠なのか、そしてどう育んでいくのかをお伝えしていきたいと思います。

「外的キャリア」と「内的キャリア」

では、私たちがキャリアを語る上で欠かせない2つの大切な側面『外的キャリア』と『内的キャリア』について、深掘りしていきましょう。キャリア理論の第一人者であるエドガー・シャインも、キャリアの歩みにはこの2つの軸があると提唱しています。

外的キャリアとは?

外的キャリアは、客観的に評価され、他者からも認識されやすいキャリアの側面を指します。具体的には、以下のような要素が含まれます。

  • 職務経験: どのような会社で、どのような役割を担い、どんな業務に携わったか。
  • 役職: 昇進や昇格の履歴。
  • 給与: 報酬の額やその推移。
  • 資格・スキル: 取得した資格や習得した専門スキル。
  • 勤務形態: 正社員、契約社員、フリーランスといった雇用形態。

これらは履歴書や職務経歴書に記載されるような、目に見える形で変化していくものです。社会的な評価や経済的な安定に直結しやすい側面と言えるでしょう。

内的キャリアとは?

一方、内的キャリアは、個人の内面に存在するキャリアの側面を指します。他者からは見えにくく、自分自身の感情や価値観、モチベーションに深く関わるものです。具体的には、以下のような要素が含まれます。

  • 仕事への価値観: 仕事を通じて何を大切にしたいか、どんな意味を見出したいか。
  • やりがい・喜び: 仕事を通じて何に充実感を感じ、喜びを得るか。
  • 自己成長: どのような能力を伸ばしたいか、どのように成長したいか。
  • キャリアの目的: 人生において仕事がどのような役割を果たすのか、長期的な目標は何か。
  • 働き方への思い: どんな働き方が自分に合っていると感じるか。

これらは、日々の仕事を通じて感じる感情や、将来への展望、自分自身の内なる声に耳を傾けることで見えてくる、あなただけの“羅針盤”となる大切な要素です。

これまでの社会では、目に見える『外的キャリア』の比重が大きく置かれてきました。しかし、VUCA時代と呼ばれる予測不能な現代において、本当に求められているのは、どんな変化の波にも”ぶれないあなた自身の軸”を持つ力です。そして、まさにその強固な軸を支えてくれるのが『内的キャリア』なのです。

なぜ内的キャリアが重要なのか?

私がこれまでに多くの方々のキャリア支援をしてきた中で、内的キャリアの重要性を感じる理由はいくつかあります。

  1. 心の底から『やる気』が湧いてくるから
    外的キャリアの成功(昇進や昇給など)は一時的な喜びをもたらしますが、それが長く続くモチベーションにつながるとは限りません。しかし、内的な充実感や「これがやりたい」という自分軸は、困難に直面しても乗り越える原動力となり、長期的に仕事への意欲を維持する基盤となります。
  2. 変化の波を軽やかに乗りこなせるから
    今の時代、会社や仕事の状況はめまぐるしく変わっていきます。外的キャリアを築くための条件も常に変動するため、外的要因だけに依存していると、環境の変化によってキャリアが立ち行かなくなる可能性があります。しかし、内的キャリアが明確であれば、たとえ外的環境が変わっても、自分軸に基づいて新たな選択をし、しなやかにキャリアを築いていくことができます。
  3. あなたらしい『自分軸リーダーシップ』を発揮できるから
    私がお伝えしている「自分軸リーダーシップ」は、まさにこの内的キャリアに基づいています。リーダーとして、与えられた役割をこなすだけでなく、自分自身の価値観や信念に基づいて意思決定し、チームを導くためには、内的な軸がしっかりしていることが不可欠です。自分の内面と向き合い、やりがいや目的を明確にすることで、自信を持って行動でき、周囲にも良い影響を与えることができます。
  4. 毎日がもっと『ハッピー』になるから
    外的キャリアの成功だけを追い求め、内的な満足感が伴わない働き方は、燃え尽き症候群やストレス、QOL(生活の質)の低下につながる可能性があります。自分自身の価値観や強みに合った働き方を追求することで、仕事を通じて幸福感を得ることができ、心身ともに健康で充実したキャリアを歩むことができます。子育てと仕事の両立をされているリーダーの方々にとって、このウェルビーイングは特に重要だと感じています。

自分自身の内的キャリアと深く向き合い、何を大切にしたいのか、どんな自分でいたいのかを明確にすることは、あなたの仕事の充実度や人生の満足度を大きく左右する、とても大切な要素なんです。

「内的キャリア」を育てる問いかけ

では、この大切な『自分軸』をどうやって見つけ、育てていけばいいのでしょうか? 特別なことではありません。その第一歩は、日々の仕事や生活の中で感じる『自分の感情』にじっくりと耳を傾けることです。

たとえば、こんな問いを自分に投げかけてみてください。

  • どんな時に「楽しい」と感じますか?
    • 例:「新しいことを学ぶ時」→「知的好奇心」や「成長欲」が価値観としてあるかもしれない。
  • どんな瞬間に「やりがい」を感じますか?
    • 例:「チームのメンバーが成長した時」→「育成への喜び」や「貢献欲」が根底にあるかもしれない。
  • どんな場面で「自分らしくいられる」と感じますか?その時、あなたはどんな役割を担い、どんな振る舞いをしていますか?
    • 例:「自由にアイデアを出せる会議」→「創造性」や「自律性」を大切にしているのかもしれない。
  • 逆に、どんな時に「モヤモヤする」「疲れる」「違和感がある」と感じますか?その感情は、何が満たされていないサインだと思いますか?
    • 例:「細かいルールに縛られる時」→「自由」や「裁量」を求めているのかもしれない。
  • もし、仕事や役割に制限がなかったとしたら、あなたはどんなことをしてみたいですか?それは、どんな自分を実現したいからでしょうか?
    • 例:「もっと顧客と直接関わりたい」→「貢献の実感」や「人の役に立つこと」に喜びを感じるのかもしれない。

忙しい日々の中で、自分の気持ちに立ち止まることはなかなか難しいもの。でも、立ち止まってこれらの問いに向き合うことで、ぼんやりしていた「あなたの軸」が、きっと鮮明に見えてきます。そして、その軸こそが、あなたが「しなやかに、自分らしく働く」ための羅針盤となるはずです。

言語化は、一人よりも「対話」が近道

「自分のことは、自分が一番分かっている」
─そう思いがちですが、実は他者との対話を通して初めて気づく「新たな自分」も多くあります。

信頼できる同僚やご友人とのオープンな会話でも良いですし、私のようなキャリアコンサルタントとの対話も、その大きな一助となります。これまで1,200名以上の方々のキャリアと深く向き合ってきた経験から、私は「内的キャリア」を言語化するプロセスがいかに大切で、その中でどれほどの気づきが生まれるかを、何度も目の当たりにしてきました。

あなたがまだ言語化できていない『言えない悩み』も、私と一緒に紐解いていくことで、きっと自信を持って成果を生み出す『自分軸リーダーシップ』を確立できるはずです。この機会に、ご自身の『内的キャリア』に目を向け、あなたらしい輝く未来を一緒にデザインしていきませんか?

この問いかけが、あなたのキャリアをさらに豊かなものにするきっかけになれば嬉しいです。

まとめ

あなたの「内的キャリア」を育むことは、あなた自身の「しなやかさ」と「成果」、そしてチーム全体の成長へと繋がります。「自分軸リーダーシップ」を通じて、あなたらしい輝きを放ちながら、これからのキャリアを一緒に育んでいきましょう。

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