いよいよ新年度が始まりますね。
職場によっては新入社員を迎えたり、メンバーの異動があったり…と働く環境に変化がある人もいるのではないでしょうか。
さて、そんな新しいメンバーを迎えるとき「早く馴染んでほしい」「チームに貢献してほしい」と思う一方で「どう接すればいいのか」「何を伝えればいいのか」と迷うこともあるかもしれません。
信頼関係は、一度築ければそれで終わりではなく、継続的に深めていくものです。そして、その第一歩が「相手を知ること」と「自分を知ってもらうこと」です。
今日は、信頼関係を築く上で欠かせない3つのポイントを、私の経験を交えながらお伝えします。
必ず一対一で話す時間を設ける
以前、新しいメンバーAさんを迎えたとき、私は「とにかく早くチームに馴染んでほしい」と思い、みんなでランチに行ったり、雑談を増やしたりしていました。でも、なかなか距離が縮まらない…。
ある日、改めて1対1で話す時間を作ったところ、「実は、チームの雰囲気に馴染めているか不安だった」と打ち明けてくれました。それまでAさんは、みんなの前では明るく振る舞っていたけれど、実は緊張していたのです。私は「もっと早く話しておけばよかった」と反省しました。
「チームで一緒に働いていれば、そのうち自然と関係が築けるだろう」――この考え方は、一見合理的に思えますが、人は集団の中にいると「本音」を出しにくいもの。だからこそ、意図的に1対1の時間を設けることが重要です。このとき大切なのは、単なる業務の進捗確認ではなく、じっくり対話する場にすること。
例えば、次のようなテーマを話してみるのもいいでしょう。
- 「最近の仕事で、楽しいと感じたことは?」
- 「困っていることや、不安に感じることは?」
- 「自分らしく働くために、大事にしたいことは?」
こうした対話の時間は「あなたをチームの一員として大切に思っている」ことを伝えること、そして新しいメンバーにとっても「自分のことを気にかけてもらえている」と感じられる貴重な機会になります。結果として、「この人になら相談しても大丈夫かも」と安心感が生まれ、少しずつ本音を話せるようになっていくのです。
メンバーが大切にしている価値観を知る
1対1で話していると、その人が何を大事にしているのかが見えてきます。
例えば、過去に私が関わったメンバーBさんは「成長していくことが楽しい」と話していました。そこで私は、Bさんにとって挑戦する機会が増えるよう、プロジェクトを任せたり、フィードバックの回数を増やしたりしました。その結果、Bさんはどんどん積極的になり、チームの中でもリーダーシップを発揮するようになりました。
一方で、別のメンバーCさんは「チームワークが大事」と言っていました。個人プレーよりも、誰かと協力しながらサポートすることで力を発揮するタイプだったので、ペアで取り組む業務を意識的に増やしました。
このように「何を大切にしているか」は人によって異なります。だからこそ相手の価値観を知ることが重要です。
対話の中で、次のような質問を投げかけてみましょう。
- 「今までの仕事や経験の中で、一番充実していた瞬間は?」
- 「どういうときにやる気が出る?」
- 「どんな働き方が、自分にとって理想?」
こうした質問を通じて、その人に合った関わり方を考えていくことができます。
自分の価値観も伝える
信頼関係は、一方的に相手を知るだけでは成り立ちません。相手が自分を理解し、「安心できる人だ」と感じてもらうことも大切です。
例えば、私は「挑戦することを大切にするタイプ」なので、新しいメンバーにもこんなふうに伝えます。「私は、仕事では『まずやってみること』を大事にしています。完璧を目指すよりも、まず動いてみて、そこから学ぶことが大切だと思っています。」
また、「チームワークを重視するタイプ」の人なら、こんな言葉が響くかもしれません。「私は、個人の成果よりも、チームとしての成功をすごく大事にしています。だから、何か困ったことがあったら、一人で抱え込まずに気軽に相談してほしい。」
こうして自分の価値観も伝えることで、「この人はこういう考え方なんだ」と理解してもらえます。
その結果、お互いにとって働きやすい関係性が築かれていきます。
まとめ
新しいメンバーとの信頼関係を築くためには、
- 一対一でじっくり話す時間をつくる(表面的な関係ではなく、本音を引き出す場をつくる)
- 相手の価値観を知る(何を大切にしているのかを理解し、その人に合った関わり方を考える)
- 自分の価値観も伝える(「どういう人なのか」を知ってもらい、安心してもらう)
この3つを意識することが大切です。
信頼関係は、一朝一夕で築けるものではありません。しかし、「お互いを知ろうとする姿勢」があるかどうかで、その後の関係は大きく変わります。上司や部下など立場や役職よりも前に、「人として」関わることが大切です。
新しいメンバーが「ここなら安心して働ける」と感じられるような関わり方を、ぜひ意識してみてください。
最初が肝心です!