「教えたのに、伝わっていない…」そんな悩み、ありませんか?
「ちゃんと説明したはずなのに、思った通りに動いてくれない」
「何度言っても同じミスをする」
そんな経験、指導に関わる人なら誰でも一度はありますよね。実はこれ、多くの場合「相手の理解力の問題」ではなく、教え方の工夫次第で変えられることが多いんです。
でも、「教え方」って、誰かにしっかり教わったことがないという人がほとんど。新人時代からなんとなく見よう見まねで覚えて、そのまま指導する立場になっている…そんなケース、実はよくあります。私自身、多くの後輩指導や新入社員研修に携わってきましたが、指導に必要なのは“特別なスキル”ではありません。むしろ、ちょっとした工夫と意識で、相手のやる気も成長スピードも大きく変わっていくのです。
今日は、そんなあなたのために“特別なスキルがなくてもできる、効果的な教え方の5つの基本”をわかりやすくご紹介します。
「伝える指導」から「伝わる指導」へ。
相手のやる気と成長を引き出す教え方、一緒に磨いていきませんか?
目的を伝える
目的をハッキリ伝える「なぜやるのか?」を明確に。
やり方(How)や内容(What)ばかりに目が向きがちですが、もっとも大事なのは「なぜそれをやるのか(Why)」です。
たとえば…新人に資料作成をお願いする場面
▼初心者的アプローチ(やることだけ伝える)
「この会議資料、作っておいてください」
👉相手は“何のために”“誰のために”作るのかがわからず、判断に迷いがち。
▼理解を深めるアプローチ(目的+やること)
「明日の部内会議で使うから、会議資料を作ってください」
👉目的がわかることで、資料の内容や伝え方に意識が向くようになる。
▼自立を促すアプローチ(目的だけ伝え、引き出す)
「明日の部内会議で、新しい業務フローをみんなに共有したいんだけど、どんな資料があればわかりやすいと思う?」
👉相手が自分で考え、工夫しながら作ることで、自発性や責任感が育つ。
このように、目的を伝えることで、相手は自分で工夫し、どうすれば効果的か考えるようになります。これが、後々その人の自発性や成長を促すきっかけとなります。特に社会人経験がある中途社員や、アルバイト経験がある新人は、過去の経験と結びつけやすいため、目的から伝えることで理解度も高まりやすいです。
業務を細分化して伝える
業務は細かく分解して伝えます。大切なことは「行動」に焦点を当てて伝えることです。
「コピーとって来て」だけでは、どこで、何部、どう渡すか…などが伝わらず、迷わせてしまいます。また、「なるべく早く」などの曖昧な表現も、人によって解釈が異なるため、できるだけ具体的な事実や行動ベースで伝えることが大切です。
✔得たい結果ではなく、「どのように動くか」に焦点を当てる
✔「ツボ(ポイント)」を押さえて伝える
✔抽象的な指示は、例を交えて具体化する
やってみせる
いきなり「やってみて」と言ってもうまくいきません。
まずは一通り自分がやって見せることが大切です。(※ここ!結構抜けている人が多いです)全体像を見せ、必要なステップを一つずつ丁寧に説明することで、相手の不安が減り、行動へのハードルが下がります。
観察する
教えて終わりにしないようにしましょう。その後の観察とフォローがカギです!
「教えたはずなのに、なんでできてないの?」そんな時こそ、振り返ってほしいのが“教えて終わりになっていないか?”という点です。新人は「何がわからないかが分からない」状態のことが多いです。
だからこそ、教えたあとはしっかり観察して、行動や理解度を確認することが超重要です。
観察するポイント
- 実際にやっている様子を見てみる
- 離れていても誰かに様子を聞く
- 「質問ある?」ではなく「どこがわかりにくかった?」と聞いてみる
(「質問ある?」と訊くと、ほぼ「大丈夫です」という返事が返ってきます。)
観察することで、褒めポイントや改善ポイントも見えてきます。フィードバックにつなげるためにも、観察は教えるのと同じくらい大切なプロセスです。
理解度を確認する
対話とフィードバックで、成功体験を積ませましょう。実際やってみてどうだった?等、確認しましょう。
「わかった?」ではなく、「この部分、説明してみて」と相手に話してもらうことで、本当に理解しているかを確認できます。そして何より大切なのが、小さな成功体験を積ませること。最初から完璧を求めず、できたところはきちんと承認し、具体的に褒めましょう。
フィードバックのコツ
- 「よくできたね」ではなく、「〇〇の進め方がとても丁寧だったね」
- 改善点は、「こうするともっと良くなるよ」と前向きに伝える
最後に:教えることはスキル
「優秀な人が、優秀な人を育てられるわけではない」
これは、人材育成に長く関わってきて私が強く感じていることです。
大切なのは、その人の“能力”ではなく、関わり方や教え方の工夫。たとえ特別なスキルや知識がなくても、「伝えたい」「育てたい」という思いと、今回ご紹介したような基本を押さえるだけで、相手の成長を後押しすることは十分可能です。
「教えるって難しい…」と感じている方こそ、少しずつ試してみてくださいね。
まずは、今日誰かになにかを教えるとき、「なぜそれをやるのか?」を、一言で添えて伝えてみましょう。
きっと、あなた自身の関わり方にも変化が起こるはずです。