「これ、どういう意味なんだろう?」 「このまま進めていいのかな…?」上司から指示を受けたものの、いざ動き始めると疑問が出てくる。なんとなくモヤモヤしたまま仕事を進めてしまった経験はありませんか?私自身も部下の立場として、何度もそんな経験をしてきて、”指示が曖昧なまま進んでしまう怖さ”を痛感することがありました。
実は、キャリアカウンセリングで耳にするのがこのパターンです。
部下の立場にある方から「これってどういう意味なんでしょう?」と相談されるのですが、詳しく内容を聞いてみると、「それは、ご本人に直接確認されたほうが良いのでは?」というケースが意外と多いのです。
上司に質問するのって、ちょっと勇気がいりますよね。
「こんなこと聞いても大丈夫かな?」 「質問したら、理解してないと思われないかな…?」そんなお気持ち、とてもよくわかります。でも、曖昧なまま進めて、後から「思ってたのと違った…」となってしまう方が、よほどリスクが高いと思うのです。
今日は、私自身の経験を交えながら「どんなときに、どんな質問をすれば仕事がスムーズに進むのか?」を考えていきたいと思います。
「どうしたらいいの?」と思ったら、まず“問い返す”勇気を
あるとあるとき、上司からこんな指示を受けました。
「このプロジェクトの進行を見直して、もっと効率よく進めてください」
……え?(一瞬フリーズ)どこからどう手をつけたら?と思いますよね。最初は戸惑いましたが、そこで部下はこんなふうに質問しました。
「具体的に、どの部分を優先的に改善すべきでしょうか?」
「期日は、どの程度の余裕をもって進めればよいでしょうか?」
この問いかけをきっかけに、上司の意図が「チェックポイントの見直し」と「タスクの細分化」にあることがわかり、ようやく具体的なアクションに落とし込めました。
指示がふんわりしているときこそ、「まず何をすればいいか?」を明確にする質問がカギになります。いざ仕事に取り掛かるときに、自分がどのように行動するか?自分で明確にイメージが出来ているかを確認しましょう。
ふんわりした目標こそ“焦点を絞る”質問で具体化
別のケースでは、「品質を高めてください」と言われたことがありました。こちらもかなり抽象的ですよね。
そこで部下はこう聞いてみました。
- 「“品質”とは、どの部分を重視するべきでしょうか?」
- 「改善すべきプロセスは、どの工程にあると考えますか?」
結果として、上司は「品質管理の見直し」や「お客様の声の反映」を求めていたことが分かり、的を絞って改善に取り組むことができました。「どの視点から見ると良いのか?」を尋ねることで、抽象的な目標も具体的に動きやすくなります。
不明確なスタートには「次の一歩」を尋ねる
プロジェクトで初めてリーダーを任されたとき、「とりあえず、うまくやってね。よろしく」と言われて、頭が真っ白になったことがありました。
そんなときは、ひとまず「承知しました」と伝えたうえで、こう問いかけるようにしました。
「まず、どこから取り掛かればよろしいでしょうか?」
「チームの優先順位はどこになりますか?」
「どのメンバーやリソースが鍵になりますか?」
こうした質問を通じて、チーム編成や初動の優先順位が明確になり、リーダーとして動き出すための土台を固めることができたのです。な立ち上げができました。“今の自分ができる最初の一歩”を明確にする質問は、とても効果的です。
定期的に「フィードバック」を求める習慣を
仕事を進める中で、私が特に意識していたのは、途中の段階で上司に確認をとることです。
たとえば、
- 「この進め方で、改善すべき点はありますか?」
- 「もし次回、このプロジェクトを進めるとしたら、どのように変えると良さそうですか?」
このように、定期的にフィードバックを求めることで、自分では気づけなかった視点を得られたり、上司の期待とのズレを早めに修正できるようになります。
そして実は、この“確認のやりとり”にはもう一つ大きな意味があります。
それは、上司の優先順位や判断軸、報連相のタイミングやスタイルなど、日頃の仕事の進め方のクセや、価値観を知るきっかけにもなるということです。つまり、フィードバックをもらう=上司とのチューニングを早めに行うチャンスなんです。
このコミュニケーション頻度が高まれば高まるほど、上司の思考や指示の意図が読めるようになり、指示を待たずとも先回りした動きができるようになります。「聞く=訊く」ことは、単なる確認ではなく、信頼構築と仕事の質を高めるための重要なプロセス。だからこそ、遠慮せず、タイミングを見て小まめに“聞いてみる”ことが大切です。
最後に
曖昧な指示や抽象的な目標を前にしたとき、「なんとなく動く」のではなく、「質問して明確にする」ことが、成果への近道です。
質問することは、決して「わかっていない証拠」ではありません。それは、仕事の精度を高め、上司との信頼関係を築くための、前向きなスキルです。
そしてこれは、部下の立場の人だけでなく、管理職の立場にいる私たちが、チームにこそ伝えていきたい大切な姿勢でもあります。
「聞けるって、強みだよ」そう言える空気を、一緒につくっていきましょう。