褒めることの目的はなんだと思いますか？
近頃「褒めることが苦手」という上司のお悩みをよく耳にします。特に「どう褒めていいのかわからない」「褒めすぎると部下が調子に乗りそう」という不安を抱えている方が多いようです。褒めることに対する誤解や不安を解消し、効果的に部下を育てる方法を考えてみましょう。
褒めすぎることを恐れない
「褒めすぎると調子に乗るのでは？」と言う上司が多いですが、適切な褒め言葉は、部下に自信を与え、仕事に対するモチベーションを向上させます。褒めることは「事実の承認」であり、好ましい行動を「継続・習慣化」することに効果的なのです。
例えば、部下が成果を出したときにその努力を認めることで、部下は「自分が成長している」と実感し、次の挑戦への意欲が湧きます。調子に乗るどころか、次のステップに向けて積極的に動き出します。
褒める内容を「結果」だけでなく「過程」にも焦点を当てることで、受け止めやすくなります。結果だけを褒めても、受け取る側が「褒められるに値しない」と自己評価している場合、心に刺さりにくいからです。よって、努力や姿勢を褒めることに重点を置くと、成長を促進するポジティブな効果を引き出せます。
例：「今回の結果はもちろん素晴らしいですが、特にあなたがプロジェクトを進める中で見せた積極的な姿勢が良かったです。トラブルがあっても諦めずに取り組んでいたのが印象的でした。」など
どこを褒めれば良いか分からない
「どのタイミングで、どこを褒めて良いのか分からない」という悩みもよく聞きます。
褒めることに慣れていないと、何を褒めるべきかが分からず、つい単調になったり、適切なタイミングを逃してしまったりします。受け手は「無理やり褒めるところ探してます？別に無理に褒めてもらわなくてもいいんですけど…」という微妙な感じになってしまいます。
しかし、効果的な褒め方は意外とシンプルです。
部下の努力や成長に焦点を当て、目に見える成果や行動に対して事実を褒めることです。小さな成功でも積極的にフィードバックをすることで、部下は自信を持ち、より良いパフォーマンスを発揮します。また、褒めることは「結果」だけでなく、「行動」にも注目することがポイントです。部下がどうすれば褒められるのかが分かれば、次回以降の行動が明確になります。
例：「この問題を解決するために、あなたが積極的にチームメンバーとコミュニケーションを取っていたのが素晴らしかったです。皆で協力して解決策を見つけたことで、プロジェクト全体の進行がスムーズになりました。」
ここでも重要なことは「具体的に言語化」することです。
褒めることに対する不安を軽減する
褒めることが苦手な上司は「褒めるときにどうしても気恥ずかしい」「上司としての立場が崩れるような気がする」と感じることもあるかもしれません。しかし、実際には適切な褒め方をすることで、部下との信頼関係を深め、仕事の成果にもつながります。
褒めることが「上司の威厳を失うこと」にはなりません。むしろ、部下をしっかりと認める姿勢を見せることで、リーダーシップが強化され、部下は尊敬と信頼を感じやすくなります。また、褒めることに少しでも自信を持つためには、まずは部下の成果を素直に認め、心から感謝の気持ちを伝えることが大切です。
例：「あなたの努力がチームにとって本当に重要でした。本当にありがとう。」
褒めるタイミングを増やす
いつ褒めるか、どのタイミングで褒めるかも非常に重要です。タイミングを誤ると、せっかくの褒め言葉が効果を発揮しないこともあります。効果的な褒めるタイミングと意識すべきポイントです。
✅成功した瞬間に褒める
「このプロジェクト、見事に成し遂げましたね！あなたが計画的に進めたおかげで、すべてスムーズに進みました。」
✅努力やプロセスに着目して褒める
「結果は少し届かなかったかもしれませんが、あなたの取り組み姿勢や粘り強さは素晴らしかったです。次回はきっと良い結果が出ると私は信じています。」
✅成長を実感させるタイミング
「前回のプレゼンに比べて、すごく自信を持って発表しているのが印象的でした。あなたの成長が感じられて、私はとても嬉しいです。」
✅改善した点を褒める
「以前よりもミスが減り、細かいところも気を配れるようになったことが本当に素晴らしいですね。自分の課題をしっかり意識して取り組んでいるのが感じられます。」
褒めるタイミングをうまく捉えることで、部下は自己肯定感を高め、次の仕事に対して前向きな気持ちで臨むことができます。後回しにせず、リアルタイムで効果的に褒めることを意識しましょう。
褒めることは一貫性が大事
褒める際に注意したいのは、「気分やその日の状況に応じて褒める」と、部下が何を基準に褒められているのかが不透明になり、不信感を招くことがある点です。褒める際には一貫性を持ち、部下が納得できる理由で褒めることが大切です。
褒める基準を明確にし、部下に対してその基準を共有することで、褒め言葉が一貫性を持ち、信頼感が増します。どんな努力や行動が評価されるのかを伝えることで、部下は自分がどう評価されるかが分かり、安心して成長を目指すことができます。
例：「あなたの発表は毎回とても説得力があり、特に今回は全体の流れをうまくまとめていました。プレゼンの準備から発表まで、全体に一貫したクオリティが保たれていました。」
まとめ
褒めることは、部下の成長を促し、モチベーションを高める強力な手段です。しかし、褒めることに対する不安や誤解を感じる上司も多いのが現実です。しかし、実際には適切な褒め方を実践することで、部下との信頼関係を深め、チーム全体の成果にも繋がります。大切なのは、褒める内容が「結果」だけでなく「過程」や「努力」にも焦点を当てることです。
また、褒めるタイミングや言葉の一貫性を意識し、部下が納得できる理由で褒めることで、モチベーションがさらに高まります。褒めることに自信を持つためには、まず部下の努力を素直に認め、感謝の気持ちを伝えることが重要です。
部下が成長し続けるためのサポートをするために、適切なタイミングで具体的なフィードバックを行い、部下のポジティブな行動を引き出しましょう。褒めることが上司としての威厳を損なうことはありません。むしろ、部下をしっかりと認める姿勢を示すことで、より強固なリーダーシップを発揮することができます。
信頼と成長を育むために、褒める文化を定着させてより良いチームづくりを進めていきましょう。
