仕事において「考える」とは、単なる情報処理にとどまらず、特に正解がない問いに対して自分なりの答えを出すことです。今回は、私がキャリアコンサルタントとしてカウンセリングした内容を元に、このテーマを深く掘り下げてみたいと思います。
※実在する人物ではありません
新プロジェクトの立ち上げ
Aさんは新しい商品の開発に関わるプロジェクトに携わることになりました。この商品は、業界のトレンドに基づいてアイデアを出したものでしたが、お客様に受け入れられるかどうかは不透明でした。チーム内では「この商品は本当に必要とされるのか?」という疑問が大きな壁として立ちはだかりました。この疑問に対する答えを見つけられないままプロジェクトが進むことに、Aさんは不安でいっぱいでした。
プロジェクトの初期段階で、市場調査を行い、消費者のニーズを探ることにしました。調査の結果、競合他社の製品は多数存在していましたが、消費者が求めている特徴や機能に関して明確な答えが得られないことが分かりました。この状況に直面したAさんは、ただデータを分析するのではなく、自分の経験や直感をもとに考える必要があると感じました。
自分なりの答えを出す
そこでAさんは、これまでの経験を振り返りながら「消費者が本当に求めているものは何か?」という問いを深く掘り下げました。特に、Aさんが以前担当した製品のユーザーから聞いた「こういう機能があれば使いたい」という声を思い出しました。
そのとき「これが本当の価値だ」と感じました。消費者のニーズを理解することが、自分たちの使命だと再認識したのです。そこで、Aさんたちは戦略を再構築し、消費者に響くメッセージを発信することができました。もちろん、リスクも伴いましたが、Aさんたちの考えが新たな道を切り開くきっかけになったのです。
成長と学び
この経験を通じて、正解がない問いに対して自分なりの答えを出すことの重要性を実感しました。
以下のような成長と学びを得ることができます。
- 自己認識の向上: 自分の価値観や経験が、判断にどのように影響を与えるかを意識することができました。他者の視点を理解しつつ、自分の考えを持つことが大切だと感じました。
- 柔軟な思考: データだけに頼らず、感覚や直感も大切にすることで、より創造的な解決策が生まれることを学びました。時には、論理的なアプローチから外れることも必要だと感じました。
- コミュニケーションスキルの向上: チーム内での対話を通じて、多様な意見を受け入れることができました。これにより、プロジェクト全体のクオリティが向上したことを実感しました。意見を交わす中で、仲間たちとの絆も深まりました。
- リスクを取る勇気: 自分の考えに自信を持ち、提案する勇気がつきました。結果がどうであれ、自分の意見を表明することで、自己成長に繋がることを理解しました。
周りにどう思われるか不安でしたが、伝えてみないと良し悪しも分からないことに気付きました。
まとめ
私たちは、日常生活において、実はほとんど考えていないことが多いのです。
仕事における「考える」という行為は、正解がない問いを考え抜くこと。
自分なりの視点を持ち、リスクを理解しながらも自ら意思決定を行うことです。
正解がない問いに対して自分の答えを見つけ、発信していくことは、勇気を伴いますが、必ず自己成長に繋がります。
例えば、繰り返し同じ作業を行う定型的な業務であっても、上司の指示に従って行う補佐的な業務であっても、「なぜこの作業をするのだろうか?」「どうしてこういうやり方をするのだろうか?」「もっと良い方法はないだろうか?」と考えられることがあるはずです。
その疑問に対して自分なりに考え、答えを探してみることも良いトレーニングになります。もちろん【的外れ】な考えとなってしまう場合もあるでしょうし、「誤解」されてしまうこともあるでしょう。しかし、こうした日頃から考えるトレーニングを通じて、自ら考えて動く「考動力」を養えるようになり、それが身に付いていくと、次第によりレベルの高い仕事が与えられるようになってくるのです。
松下幸之助 氏の名言です。
とにかく、考えてみることである。工夫してみることである。そして、やってみることである。失敗すればやり直せばいい。
日々考えることを習慣化していきたいです。