昇進もして、評価もされている。
今の仕事に大きな不満はない。
やるべきことは分かっていて、任された役割もこなせている。
上司や部下をサポートしながら、日々忙しく働いている。
それでも、ふとした瞬間に訪れる、なんとなくの違和感「このままで、いいのかな?」そんな問いが浮かんだときは、少し立ち止まって、自分の声に耳を傾けてみませんか?
今回は、キャリア相談でもよく寄せられる「このままでいいのか?」というモヤモヤの正体と、その乗り越え方についてお話ししていきます。
順調なキャリアの中に現れる“違和感”
- 一通りの業務はこなせるようになった
- 自分の得意なことや、任される業務が明確になってきた
- 昇進して、責任あるポジションを担っている
- チームの中で信頼される立場にもなってきた
このように、キャリアは「順調」と言える状態かもしれません。
でも、だからこそ気づきにくい“心の声”があります。
「今の仕事をこなせているのに、なぜか心が満たされない」
「このまま5年後、10年後も、同じ働き方でいいのだろうか」
「“なんとなく違う”気はするけど、何をどう変えればいいのかわからない」
これは決して贅沢な悩みではなく、多くの人がキャリアの中盤で感じる“変化の予兆”です。
モヤモヤの正体は “余白に気づく感性”
若手の頃は、分からないことばかりで毎日が挑戦の連続です。目の前の仕事にがむしゃらに向き合い、失敗しながらも、少しずつ成長を実感できる時期です。
しかし、ある程度、経験を積んで仕事に慣れてくると、日々“こなすもの”に変わっていきます。予測できる業務が増え、新鮮さや刺激が減っていく。そうしたときに芽生えるのが、「このままでいいのかな?」という感情です。
この違和感は、何かが欠けているサインではありません。むしろ、これまで真剣に仕事に向き合ってきたからこそ育った“余白に気づく感性”かもしれません。
「もっと自分らしく働きたい」
「今のままで満足していいのかな?」
そうした気持ちに気づけるのは、仕事に真剣に向き合ってきたあなただからこそ。
ここで、人は「退職」「転職」などが頭に浮かんできます。きっと自分にとって分かりやすい「変化」だからでしょう。
<キャリア面談>よくあるご相談
ある30代の女性マネージャーから、こんなご相談を受けたことがあります。
「成果も出して、部下からも信頼されている。だけど、ふと『これを10年続けるの?』と考えたら、不安になってしまって……」これはまさに、キャリアが“止まらず”に動き続けているからこそ感じる違和感。
今の自分に満足していない訳ではなく、これからの自分に問いかけているからこそ生まれる悩みなのです。
キャリアを止めないという選択
この“モヤモヤ”に対して、すぐに「転職」や「退職」で応えようとしなくても大丈夫です。焦らなくても、ちゃんと前には進めます。
実は、こうした時期こそ大切なのは、「問いを持ち続けること」です。
- 今の仕事に、自分らしさを加えるとしたら?
- この先、どんな働き方をしていきたい?
- どのようなことに違和感を感じていて、その奥にある本音は?
これらの問いに、明確な答えはなくても構いません。前向きでなくても良いのです。問いを持ち続けることが、「キャリアを止めない」ことにつながります。
自分の人生に、ありのままの自分で関わり続けること。
それこそが、キャリアを止めないということです。
- なんとなく流されている日々を見直してみる
- 気になることに、小さく挑戦してみる
- 「本当はどうしたい?」と自分に問いかけてみる
小さな一歩が、キャリアの流れを変える
「今のままでいいのかな?」と思ったら、まずはこんなことから始めてみてください。
- 気になっていた勉強会やセミナーに参加してみる
- 異業種の人と話してみる
- 興味のある本を手に取ってみる
- 旅に出る、アートに触れてみる
- 家族との何気ない会話にヒントを探してみる
- 忙しくて忘れていたことに再び触れてみる
自分らしさに出会うためのヒントは、意外と日常のすぐそばにあります。私自身も、キャリア相談とは直接関係のない学びや経験から、新しい発想を得られたことが何度もありました。
モヤモヤは、あなたが歩いてきた証
「このままでいいのかな?」と感じるのは、これまで真剣に働き続けてきた証であり、これからの未来に向けた静かなスタートの合図です。モヤモヤの奥には、まだ気づいていない自分の可能性が眠っています。
すぐに答えが出なくても大丈夫。ひとりで抱え込まず、誰かに話してみてください。その対話の中で、見えてくるものがきっとあるはずです。
自分に問いかける時間こそが、キャリアを育てる時間。
キャリアは、“変わること”だけでなく、“自分と向き合い続けること”からも動き出していきます。